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人工知能は人間を超えるか 松尾豊(2015) 紹介

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紹介

この本は人工知能についての専門家と世間の認識ズレを是正する目的で書かれている。日本トップクラスの人工知能研究者が、人工知能のできること、できないことについて分かりやすく説明してくれている。学会雑誌の編集長も経験していたようで、文章もよい。

著者の「人工知能は宝くじ」という表現が言い得て妙である。成功すれば多大な富を得られるが、現実となるかはわからない。しかし宝くじを10枚買えば最下位賞が確実に当たるように、人工知能が確実に成し遂げる革新もある。人工知能とは割のいい宝くじなのだろう。

既存の機械学習ディープラーニングの違いについても分かりやすく説明している。機械学習には数式がつきものだが、結局ディープラーニングの凄さは特徴を自動で抽出できることであり、その認識があるかないかで機械学習に対する見通しが全然変わると思う。

さらに特徴抽出の方法である自己符号化器についてもわかりやすく説明してある。伝言ゲームに見立てる表現がとても分かりやすかった。自己符号化で何をやっているかを説明する参考書はたくさんあるが、自己符号化でなぜ特徴抽出ができるのかについて言及しているものは少ない。詳しい理論に踏み込む前に、まずその概要をこの本で理解すべきだと思う。

この本の総合評価:5

まとめ この本を読むべき人は